サックスのリペアについて:プロ奏者のお話 その2
こんにちは。
今回もジャズサックス・プレイヤー鈴木学先生の動画をご紹介させて頂きます。前回の続編の様な動画になっています。
最近松田工房で調整させて頂いた先生のテナーサックスを実際に演奏されています。
きっと音の変化等を感じていただけるのではないでしょうか?(録音環境等、基本全て同じという事らしいです。)
今回の様に、リペア前、リペア後の音の比較動画は大変珍しいと思います。リペアにご興味ある方は、ご参考にして頂けるのではないでしょうか?リペアに出しても音が変わらないとお考えの方にとっても、興味深い動画だと思いますよ。
松田工房は常日頃から、しっかりとした基礎調整、それによる吹き心地、豊かな響きが重要だと思っております。しかし、この事は見た目では分かりませんし、今までホームページでもご紹介出来ませんでした。思いがけず、今回の比較動画で私のリペア前、後の動画をご紹介する事が出来ました。感動でした!(自分の想像以上に音が響く様になっていました。)
比較動画だけでなく、 今回もリペアについてのお話がありました。リペアに出すメリット、気をつける点など、色々お話されていました。
前回、今回とありがとうございました。
今回は動画での演奏でしたが、実際の生音はどんなものなのか?気になられた方は、一度先生のライブをご覧になって下さい。動画以上にサックスの響きを感じて頂けるのではないでしょうか。また生音、ライブの素晴らしさも感じて頂けると思います。
早くコロナが収まり、ライブがやり易い世の中になると良いですね!
鈴木サキソフォンスクール
松田工房
サックスのリペアについて:プロ奏者のお話
ジャズサックス・プレイヤー鈴木学先生の動画です。サックスのリペアについて、プロ奏者・指導者としてお話しされています。
普段どういった事に気をつけられているのか?
生徒さんの傾向をふまえ、リペアをどうすれば良いのか?
など、リペアマンが話す内容とはまた違ったお話がありました。
松田工房の事も取り上げて頂きました(後で知り驚きました。)。ありがとうございました。
動画にもありましたが、今、楽器をお預かりしております。いつも通り、しっかり調整させて頂き、今まで以上に楽器が響くよう頑張ります!!
鈴木サキソフォンスクール
松田工房
クラリネット の変色とマウスピース
今回はクラリネット のキィの変色についてです。
クラリネット の修理をお待ちになった方で非常に多いのですが、部分的にキィが黒く変色してしまっています。
写真の赤の部分が特に黒くなっている事が多いです。
原因は、何でしょう?
皆さんの中にも経験された方は多いかも知れません。キィの変色は、楽器を購入して間も無い方や、マウスピースを購入して間も無い方に多いです。ケースの中のマウスピース付近のキィがどんどん黒く変色していきます。他のキィはキレイなのにどうして一部分だけ黒くなるんだろう?と思われていた方も多いかも知れません。原因はマウスピースです!(赤の部分の中央にはマウスピースがありますね!)
皆さんがよくご使用になっているマウスピースには硫黄の成分が含まれており、キィの銀(メッキ)が硫黄に反応して、黒くなってしまうのです。
一定期間経てば硫黄がマウスピースから抜けて、キィも黒くならないとは聞きます(半年〜1年?)。しかし、一定期間経ったものでも黒くなった楽器を見た事もあります(2年くらいだったと思います。)。半年ぐらい経てば大丈夫という説は、あまり同意出来ません…。
対策は?
これからはマウスピースは楽器とは別に保管、持ち運ぶと良いと思います。その際は、マウスピースポーチの中に入れておくなどして、しっかり保護して下さいね。(マウスピースは本当にデリケートで大切な物です!)
キィの研磨について
黒くなってしまったキィですが、磨くのは我慢しましょう。黒くなったからといって、磨いてばかりいると、銀メッキが薄くなります(海外のメーカーは特に要注意です。国内の楽器より薄めなので、磨きには注意です。)。
黒くなってしまった場合は、次回調整に出される時に軽く磨きも依頼されると良いと思います。リペアマンは限界を知っていると思いますし、その方が安心だと思います。また、「調整に出す時しか磨かない」と決めておけば、そんなに銀メッキが薄くなる事も無いでしょう。
多くの方に
クラリネット のキィの変色とマウスピースの件は、本当に多くの方がお悩みではないかなと思います(それほど、たくさんの黒くなったキィを見てきました。そして、原因が分からなかった方が多数でした。)。
クラリネットを吹く方に、この情報が早く広く浸透すればなと思います。皆さんの楽器の為にも。
キィオイルについて、もう一度考えてみましょう
キィオイルは楽器屋などで市販されており、お手入れ用品として扱われていると思います。(ネットなど、色々な所でも、お手入れ用品として使用を薦められています。)
そのためでしょうか、木管楽器の方から度々いただくご質問に、「キィオイルはどうすれば良いでしょうか?」というものがあります。
しかし私は、皆さんにキィオイルのご使用をオススメしていません。皆さんのご使用に関しては、メリットよりもデメリットの方が多いと思います。
メリットについて
一旦キィの雑音を消す事が出来る。
ご自身でオイルを差す事が出来る。
デメリットについて
キィオイルだと消音は長持ちしません。乾燥が早く、すぐに雑音がでます。粘度が低い為です。
それどころか、雑音が消えない事があります。これも粘度の低さが原因です。
と言っても、粘度の高い物を皆さんが差すと、逆にキィの隙間に上手く染みこまないでしょう。
またキィオイルは、
丁寧な後処理(隅々まで拭き取り)!
適量(たくさん差しすぎない)!
等の注意が必要です。
拭き取り方や差した量次第ですが、コルクやフェルトをダメにしてしまう場合もあります。
(余分なオイルや、キレイに拭き取れていなかったオイルが流れていってしまうのです。実際過去に、コルク、フェルト等がダメになった楽器を見た事があります。調整がやり直しになり、余計な出費になってしまいますよ!)
また、雑音の原因はオイル以外の所にあるのに、自分判断で差しすぎて、結局直らず悪化させる事もあります(これでもコルク・フェルト等はダメになります...。)。
オイルは万能ではありません。修理が必要な場合もあります。
オイル類はリペアマンにお任せ下さい!
以上の様に、キィオイルの使用によって、楽器が悪くなる事もあります。
そのため私はいつも、「オイルは調整に出す時にお任せ下さい。」とお答えします。
私の場合は各部所のキィにあった物(グリス、ジェル、オイル、色々)を使って、長持ちするように考えています。(環境によって変わりますが、半年〜1年は最低もつようにしています。調整は1年に最低1回必要になってきます。皆さんがオイルを差さなくても、リペアマンにお任せ頂ければ大丈夫です!)
多分、それぞれのリペアマンの方も長持ちするように工夫されているはずです。間違った場所にオイルを差してしまうと(グリスを差してある部分などにオイルを差してしまうなどすると)、長持ちするものも、しなくなる可能性があります。
今回のお話は、今までのネットの情報とはちょっと違うかも知れませんが、
リペアマン目線で、楽器が良好な状態で長持ちさせる為の情報だと思います!
最後に
これからはキィオイルを差すのは控えていただければと思います。そしてキィの雑音が気になるようなら、お近くのリペアマン、または私にお問い合わせ下さい。
サックスやクラリネット 等(木管楽器)を演奏していて、カチャカチャいう事はありませんか?チェックしてみましょう!
マウスピースの水洗い:金管楽器でも衛生面、音楽面を考える(凹みの修理もしてみます)
前回は木管楽器のマウスピースでしたが、今回は金管楽器のマウスピースの水洗いについてです。
金管楽器(トランペット、トロンボーン、ホルン等)のマウスピースも水洗いの必要があります。
マウスピースは、スロート・バックボア(息の通り道)に汚れがつきやすく、気が付くと汚れがたまるだけでなく、さびている事さえもあります。
皆さんは楽器の凹みは気づかれるのですが、マウスピースの汚れ、つまり内側の凹みには気づかれていない事が多いです。実は、マウスピースの汚れはベルの小さな凹みよりも、音に影響がある事もあります。
もちろん、衛生面でも、汚れがたまっているマウスピースを吹くのは、オススメ出来ません。
あと今回、マウスピースの凹みについて、一緒にやっておきます。
皆さんのマウスピースは結構凹んでいたりします。案外、ベルの凹みよりも、マウスピースの凹みの方を軽く見すぎているのかも知れませんね。
これもすごく、音に影響がありますので、早めに修理しておきましょう!
それでは、トロンボーンのマウスピースで実際に凹みの修理、掃除をやってみましょう!
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マウスピースはどんな状態?
学生さんがお使いのマウスピースは写真のような状態が多いです。もっと酷い時も多いです(^_^;)
スロート・バックボア(息の通り道)は汚れてしまっています。汚れで、ボコボコしています。
シャンクの先端が凹んで円形でなくなっています。
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修理をします
マウスピースの凹みを直します。まずは、シャンクに器具をはめます。
器具、ハンマーを使って、凹みを直します。
円形になりました。(マウスピースは落とさないようにしましょう!
金属の凹みの修理はあまり好ましいものではありませんし、完全には元にもどりません。やはり、気を付けましょう!!)
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次に洗っていきます
マウスピースブラシでキレイに洗います。(この時、落とさないようにして下さい!)
スロート・バックボア(息の通り道)がキレイになりました。
クロスでキレイに拭きます。スロート・バックボアの水分はマウスピーススワブを使うとキレイにとれます。スワブを通すときは優しく通して下さい。(クロス、スワブはたまには洗うようにして下さい。拭く物が汚ければ意味がありません!手洗いで洗って頂ければと思います。)
上記の手順は毎日は難しいかも知れませんが、「マウスピースブラシを使って洗うのは1週間に1回」、「軽く水で洗った後、スワブをスロート・バックボアに通すのは毎日」という感じでいけば、よっぽど汚れがたまる事は無いと思います。
洗浄は金管楽器のマウスピースでも衛生面、音楽面、両方にメリットがあります。まだやってなかった方は実践してみましょう!
ホームページをリニューアルしました
本日、松田工房のホームページをリニューアル致しました。
大きな変更点として、新しい試みを始めてみました。松田工房「M’s(メンテナンス)会員」というものです。
ライト、スタンダード、スチューデントに分かれております。
ライト(1年会員)
スタンダード(永年)
スチューデント(学生)
あと、過去にオーバーホール(全タンポ交換)されたお客様もライト会員様と同じとさせて頂きます。ただし、期限は2021年6月までとさせて頂きますので、よろしくお願い致します。
それぞれの会員さんに合わせて内容、特典が変わってきます。
修理代がスタンダードで10%OFFになります。
他にも楽器をやっている方がお得になるような特典を受けられるように致しました。
詳細はホームページ(http://matsuda-koubou.com)をご覧下さい。ご不明な点はお問い合わせ下さい。
コロナで落ち込んでいる音楽業界を、少しでも盛り上げていきたいと思っていますし、楽器を愛されている方々、学生さんを支えていきたいと考えています。
今はまだ楽器を吹ける状況ではないかも知れませんが、そのうち良くなる事を願って頑張りましょう!裏方の人間として一緒に頑張っていきます!
マウスピースの水洗い: 衛生面でも、音楽面でも
木管楽器(サックス、クラリネット)のマウスピースですが、たまには水洗いをすると良いと思います。
多くの方がスワブを通すだけではないでしょうか?たまにマウスピースが消耗するのが早くなるという事で、あまりスワブも通されていない方もいらっしゃると思います。しかし、このご時世なので、衛生的な事も考えても良いかなと思います。また、垢、ゴミが付着する事によって、音にも影響があるはずです。(これからは今まで以上に、マウスピースは「消耗品」と考える必要があるかも知れませんね。)
洗浄ですが、マウスピースの外側は優しく手で洗って下さい。マウスピースにこびりついた白いカスは水にふやかした上で、優しく親指の柔らかい部分で洗ってとってあげて下さい。堅そうなカスも水にふやかすと案外とれますよ。カスが柔らかくふやけてから、優しくとって下さい。くれぐれも無理はダメです!
内側は綿棒を使いながら優しく洗って下さい。そんなに汚れていない時は、水で流した後に、優しくスワブを通すくらいでも良いかも知れません。それくらい内側は特に気をつけて優しく洗って下さい。
クラリネット のマウスピースの場合はコルクの部分もあるので、コルク部分には水をつけないようにしてあげて下さい。(もしついてしまっても拭き取れば大丈夫です。ビシャビシャ洗わなければ大丈夫!)
マウスピースの掃除は本当に優しく丁寧にやってあげて下さい。特に先端の方を傷つけたり欠けたりすると、音にすごく影響があります。気をつけて洗って下さい!
写真は洗う前と洗った後の写真です。
先端近くの白いものが取れているのがお分かりになるでしょうか?これは水洗いで優しく指で洗っただけです。カリカリと削ったりしていません。
洗浄前
洗浄後
あと、マウスピースパッチを貼り付けている方は多いと思いますが、ここの部分や周辺に特に汚れがたまっていると思います。洗っても取れない場合は諦めて、早めに交換しましょう。その方が衛生的です。(マウスピースパッチは音にも結構影響してきます!薄さによって音や吹奏感など変わってきますよ。色々なマウスピースパッチを試してお気に入りの音を探すのも良いかも知れません。)
さて、ここで注意点ですが、マウスピースの変色についてです。エボナイトのマウスピースはお湯で洗うと変色してしまいます。もちろん、常温の水でも変色することはあります。見た目が変わる可能性があるので、どうしてもそれが許せない方には、オススメとは言えないかも知れません(-_-;)
しかし、写真のように、あきらかにキレイ(清潔)にはなります。これからは、衛生面は大切になってきますよ!